イタリアでも東奔西走の記
2012.9.2 その1 ミラノからヴェネツィア
 

いよいよミラノともお別れ。
今日はユーロスター・イタリアに乗って、ヴェネツィアへ移動します。
 

朝7時半、ケーキ比率の高い朝食をいただこうと1階へ下りていくと、おや、まだ準備が整っていないようです。
 

いつ見てもすてきなフロントのお兄さんに尋ねると、日曜日の朝食は、平日より30分遅い8時開始とのこと。初耳です。
 

列車の時間があるので、私たちは8時15分にはホテルを出なくてはいけません。そう伝えると、キッチンにかけあって、超特急でふたり分の朝食をととのえてくれました。すてきなうえに仕事もできるお兄さん、さすがです。ハムチーズサンドにヨーグルト、カプチーノをいただいている間に、ケーキが並べられはじめたので、そちらも一切れ。大満足です。
 

迎えのタクシーに乗って、チェントラーレ(中央駅)へ。前にも書いたとおり、この中央駅はムッソリーニファシズム時代を代表する建築。威厳たっぷりの面構えをしているのですが、正面は工事中だったので斜めからパチリ。
 

  
 

とにかく天井が高く、トランポリン大会も余裕で開催できそうです。
 

  
  

そして階段の先には、撮り鉄の天国が待っています。
 

     
 

しかし切符を持っていなくとも出入り自由な駅は、スリや置引犯の格好の仕事場でもあることを忘れていけません。特に列車の時間や切符のありかなどに心を奪われて、注意力散漫になっている時が最も危険です。小心者の私たちは、ひとりが写真を撮るたび、もうひとりにスーツケースを預ける(それも、必ず持ち手を握らせる)という厳重警戒ぶりで、誰にともなく、盗らせないぞというアピールをしつづけました。
 

鉄道パスを有効にするバリテーション手続きで中央駅を訪れた際に下見をしておいたので、迷うことなくホームに到達。
 

ずらりと発着情報が並ぶ電光掲示板で、自分たちの乗る列車が何番ホームに着くか確かめます。
 

私たちが乗るのは、一番上にある9時5分発、ヴェネツィア・サンタルチア行きの9711号。しばらく見ていたら、横に8と表示されたので、8番線に来ると決まったようです。おぉ、来ました来ました。
 

  
 

ユーロスター・イタリア(伊語ではエウロスター)には3種類あるそうです。赤い矢という意味のフレッチャロッサ、白い矢のフレッチャビアンカ、そして銀の矢のフレッチャアルジェント。私たちが今回乗るのは、どうやら白い矢のようです。
 

  
 

なかは1等車と2等車に分かれています。2等車だと座席の間隔が狭いため、離れた荷物置場にスーツケースを置かなくてはいけないし、自分の席を探して車内を歩いている間にスリにあったという恐ろしい話も聞いたので、私たちは奮発して1等車を予約しました。5日間有効のパスで、たしか数千円程度の差でした。
 

ホームとの間に段差があるので、えいやっとスーツケースを引っ張りあげて乗車します。ここでいかにも親切そうに手伝ってくれる輩にも、注意が必要です。あとからお金を要求されたり、そちらに気を取られている間に仲間がなにかしらスっていく可能性があります。あなおそろしや。
 

さて1等車の内部は、1列+2列の並びで広々。私たちは向かい合わせになった1列席にゆったり座り、うしろの席との間にスーツケースを置きました。これで安心。
 

シートの背もたれは、頭のてっぺんまで包みこんでくれるほど深くて快適です。
 
 

遅延が多いと聞いていましたが、列車は定刻どおりにミラノ中央駅を出発しました。ここからヴェネツィア・サンタルチア駅まで2時間35分の旅です。
 

しばらくすると、飲みものとお菓子、新聞のサービスがまわってきました。
 

紅茶とクッキーを頂戴し、たたんであるテーブルを広げて、おやつタイムです。
 

そのあと車掌さんが検札にまわってきました。パンチのようなものでチケットに小さな穴を開けていきます。
 

ミラノはどんよりとした曇り空だったのですが、先へ進むにつれてだんだん天気がよくなってきました。よしよし、その調子と太陽を励ましているうちに、列車はヴェネツィア・メストレ駅へ到着。ヴェネツィアだ、とあわてて下車してはいけません。ここはヴェネツィア本島へ渡る手前、「陸地」にある駅なのです。
 

メストレ駅を出ると、ばばーん、海の上に出ます。しかし、残念!列車は左側を走っているので、右側の席に座っている私たちは、ひとの頭越しに海を眺めるしかありません。あーん。
 

  
 

あれか!あれがヴェネツィアなのか!?
 

  
 

その2へつづく。(N)