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イタリアでも東奔西走の記
2012.9.2 その3 ヴェネツィア
サンタルチア駅から島の南側をぐるりと大回りするコースで約40分、サン・マルコ広場にほど近いサン・ザッカリアで船を降ります。駅、広場、船着場、どれにもサン(セイント=聖)がつくのでややこしいですね。
ホテルまでは小さな橋をふたつ渡らなくてはいけません。ヴェネツィアの橋には、ほとんどすべてに階段がついているようなので、大きな荷物を持っていると大変です。仕方なくスーツケースを持ち上げてえっちらおっちら橋を渡りましたが、日々大量の荷物を運搬する方々は、もっと大変そうです。
こっちでも、よいしょっ!
これはベビーカーや車椅子の方も苦労しそうですね。
さて、無事ホテルにチェックインしました。ややこってりしたヴェネツィアン・スタイルの調度品でまとめられた、天井の高いお部屋です。木の鎧戸(日本でいうところの雨戸)を押し開ければ、そこは運河!人々のざわめきにまじって、石を打つ波の音も聞こえます。
「歴史的レガッタ」は午後4時頃にはじまるようなので、その前に腹ごしらえをすべく、さっそく街へ繰り出すことにしました。入り組んだ路地と細い水路が無数に張りめぐらされ、地図がほとんど用をなさないと言われるヴェネツィアの街。はたして無事ホテルに戻って来られるのかと、どきどきしながら歩きはじめます。
お祭りの日なので覚悟はしていましたが、ものすごいひとです。もちろんみんな、私たちと同じ観光客。
どこへ行くというあてもなかったので、人混みを避けるように細い路地へ。
心の赴くまま歩いてみます。
お、それらしい雰囲気になってきたぞ。いいぞいいぞ。
これなんてテレビで見たまんま……と、ついつい「ヴェネツィアらしい」風景を探してしまうのが観光客のかなしい性。それにしても、あまりの異文化っぷりに、巨大テーマパークか映画のセットにでもいるような非現実的な気分をぬぐうことができません。
しばらくぐるぐる歩いていると、飲食店が軒を連ねる通りに出ました。当然ながら海鮮を売りにする店が多く、店頭ディスプレイではあでやかな魚たちの競演を見ることができます。(レモンをくわえさせられた左端の子、がんばってます)
ヴェネツィアは観光客しかいないから治安はいいけれど、なんでも高い、と聞いていましたが、なかでも海鮮はお高めな様子。とりあえず値段の安そうなカフェに入って、アマトリチャーナとカルボナーラのパスタを頼んでみました。日本のファミレスでいただくようなお味でしたが、良心的な価格だったので満足。
お店の前を、結婚式を挙げたばかりの新婚カップルが通っていきました。
瀬戸の花嫁ならぬ、アドリアの花嫁。
勘だけに頼って、意外にすんなりホテルまで戻ってこられました。たしかに道は複雑に入り組んでいますが、東西南北で当たりをつければ、この街とは仲良くやっていけそうな気がします。しばし休んで、「歴史的レガッタ」に備えます。
午後4時前、表がにぎやかになってきたので、外へ出てみました。
あ、あれはレガッタに出場する船かしら?
見れば桟橋には鈴なりのひと!
運河沿いはどこもぎゅうぎゅう詰めで、大人ふたりが割り込む余地はなさそうです。のんびりしていたらすっかり出遅れてしまいました。なんとか観戦できる場所を探して、ふたたび街に分け入っていきます。
その4へつづく。(N)