台湾人の美学?

 
千駄木往来堂書店で開催中の「台湾<家跡>写真展+旅の本フェア」は、本日6日目を迎えました(あ、フェアはもっと長いですね)。足を運んでくださったみなさま、ありがとうございます。せっかくなので、こちらのブログでも台湾<家跡>写真を何点かご紹介しようと思います。

台湾には、日本の長屋よろしく、仲良くくっついて建っている建物が少なくありません。低層の住宅や商店だけではなく、マンションやビルでもそうです。そのおかげで、台湾の町には「走廊」(日本語では「亭仔脚」)と呼ばれるアーケードが途切れることなくつづき、独特の風景を生み出しているのですが、それはまた別のおはなし。

くっついて建っていた建物の一方を取り壊せば、当然、跡が残ります。おそらく日本なら、トタンで覆ったりペンキを塗ったりして、できるだけ跡が残らないように気を配ることでしょう。ところがなぜか台湾では、中途半端な形でうっちゃられたまま、年月を刻んでいる姿をよく見かけます。<家跡>にカメラをむけながら、「なぜそこでやめた?」と何度つぶやいたことでしょう。

たとえば、これ。

ほらね、みなさんも心のなかで「なぜそこでやめた?」とつぶやいたでしょう?

そして、これ。

成長した植物の様子からして、どちらもこの状態がしばらくつづいていると推測できます。だから工事途中というわけではなさそうです。お隣さんの壁を削りとってしまうより、少し多めに残してあげる、という太っ腹な台湾人の美学なのかもしれません。

しかし、上には上がいました。次回は、大胆にも<家跡>をキャンバスに絵画を描き、観光スポットにまでしてしまった例をご紹介します。(N)