集集線の旅 こぼれ話

 
雨を振り切るようにして、台中に帰り着いた私たち。夕食は「香蕉新楽園」というレストランでいただくことにしました。英語にすると、「バナナ・ニューパラダイス」。いったいどんなところなのでしょう。
 

出迎えてくれたのは、青いディーゼル車。日本東急製の車両で、その色から「ドラえもん」の愛称で親しまれているそうです。
 



写真にある「月台」という中国語、もう覚えましたね。そう、プラットホームです。車両内部には、かつて使われていた鉄道関連のグッズや、案内板、ポスターが展示されていました。



名残惜しいですが、バナナ・ニューパラダイスへ入ってみましょう。すると、まあ、なんということでしょう。一瞬にして過去への時間旅行が叶ってしまいました。
 


 


ここに再現されているのは1960〜70年代の台湾の街並み。理髪店、写真館、歯医者など「巴洛克(バロック)」様式の建物がずらりと並び、壮観です。
 

街を飾るホーロー看板やポスターなどのアイテムは、すべて骨董コレクターとして知られるオーナーのコレクションだそうです。つまり実際に街中で使われていたものということですね。
 

日本語で書かれたものもたくさんありました。なんだか懐かしいたたずまい。
 

 

メニューは国語の「課本(教科書)」風です。
 



 

店の一番奥には、映画館を模したスペースもありました。
この2階で、驚くべき事件が起こります。 
 


 

映画館2階のトイレの前に、大きな一枚の絵が貼ってありました。どうやら映画の一場面を切り取ったもののようです。それを見て、母が一言。
 

「這是我(これ、私よ)!」
 

さてその問題の絵がこちら。
 


 

ふりむく女性がそうかと思えば、さにあらず。あちらをむいて立つ女性3人の先頭が母だと言うのです。むむむ、後姿では検証のしようがありません。
 


 

母曰く、この女性たちは侍女を装ったスパイなのだそうです。そう言われてみれば、たしかに不穏な空気が漂っているような気がしてくるから不思議です。
 

そんなこんなで、私のルーツ探し集集線の旅は、思わぬおまけつきで幕を閉じたのでした。おしまい。
 

(スパイの娘N)