花嫁の湿度
〜「春は一日結婚パーティ」ができるまで〜


■その4 妄想トンネルに光
 
「秋も一箱古本市2009」の数日後、谷根千界隈のひとたち十数人が集まって、食事会が催された。その席で、どういう経緯だったか、私たちの結婚式が話題にのぼった。式は不忍ブックストリートでやります、ときっぱり宣言すると、まわりから私の妄想を超えるアイデアがぽんぽん出てきた。
 
なかでも異彩を放っていたのが、谷根千工房Oさん。「人力車でパレード?いっそ馬車にしたら?」「防災広場の原っぱで、両家対抗の運動会はどう?」「かけっことか綱引きとか。騎馬戦はちょっと大変ね」と、心底楽しそうに妄想してくださる。あのう、でも、雨が降ったら台なしですよね、と恐る恐る口を挟むと、「前にだれかが、あそこで宙に浮かぶ屋根つくってイベントやってたわよ」と、あくまで抜かりなし。私の妄想力など、まだまだ甘いと思い知らされたのだった。
 
妄想がきっちり像を結びはじめたのは、師走に入ってからのこと。まず、結婚式の日取りを2010年5月5日と定めた。理由は色々あるけれど、「一箱古本市week」の期間中であること、GWの真ん中よりは端のほうがなにかと都合がいいだろうということ、それにふたりの事情や私情も加味して、その日に決めた。
 
次に決まったのは、2次会を古書ほうろうでやるということ。前代未聞の申し出にもかかわらず、「その日は店を閉めてみんなでお祝いするよ」と、快く承知してくれた。とはいえ、そこはキッチンもない古書店。どのような形の2次会にするか、その後長らく頭を悩ませることになるのだけれど、このときはまだ、みなさんの心意気に胸打たれるばかりだった。
 
さらに、正月までの日々を指折り数えるころになって、思いがけない発見から、準備が一気に加速することになる。(N)
 
 
ひょっとして、楽しみにしてくれてる?
 
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