おまけのはなし特別編

花嫁の湿度 〜「春は一日結婚パーティ」ができるまで〜 ■その5 信じる者は…… 不忍ブックストリートで結婚式をするならここしかない、と私たちが想いを募らせていたのが、根津教会。「一箱古本市」の大家さんとしても、お馴染みの場所である。1919年に建てら…

花嫁の湿度 〜「春は一日結婚パーティ」ができるまで〜 ■その4 妄想トンネルに光 「秋も一箱古本市2009」の数日後、谷根千界隈のひとたち十数人が集まって、食事会が催された。その席で、どういう経緯だったか、私たちの結婚式が話題にのぼった。式は不忍ブ…

花嫁の湿度 〜「春は一日結婚パーティ」ができるまで〜 ■その3 諦念、転身 そして、私はあきらめた。きらきら横文字結婚式の夢は放棄した。うし、ひらがなでいくぞ、いいな、みなの衆、ついてきやがれ!と、Iひとりにむかって気炎を吐き、ふんどしをぎゅう…

花嫁の湿度 〜「春は一日結婚パーティ」ができるまで〜 ■その2 モラトリアムの罠 それからしばらく、結婚式の準備は遅々として進まなかった。両家の顔合わせ、入籍、新居探し、引越しといった“結婚関連行事”に、それぞれの仕事や不忍ブックストリートの仕事…

花嫁の湿度 〜「春は一日結婚パーティ」ができるまで〜 ■その1 ひらがな?カタカナ? 結婚式を「一箱古本市week」の企画にしてしまおうと言い出したのは、私だった。あれは1年と半年前の冬。ふたりの結婚が正式に決まったときだった。 それいいね、とIもす…

花嫁の湿度 〜「春は一日結婚パーティ」ができるまで〜 ■プロローグ 人間のからだは、70パーセントが水でできているという。それなのにどうして、と姿見を前にした花嫁は、くちびるにふれながら思う。どうして私のくちびるは、こんなに乾いてひび割れている…